はじめに

このサイトは、私が個人的にデザインに関して考えたことや、感じたことを整理していく過程で書き留めたものです。よって、かなり個人的な見解や、出典元が定かでない情報も含まれています。

また同時にオープンコースウェア的な試みも含んでいます。
全国のデザインを勉強して間もない方や、もう少しデザインを知りたいという方、Webのデザインをしているけど、グラフィックデザインの知識があまりないという方に参考となる内容を心がけていきます。
とはいえ、全国で10人程が読んでくれれば充分という程度のスタンスで書いていきます。

あくまで私のごく個人的なサイトです。このブログの内容に関しては私個人の責任で書いていきます。ご批判もあくまで私個人対象でお願いします。

 


デザインの仕事に就いて20年以上になります。

芸大を卒業後メーカーのデザイン室に11年勤務し、退職にあたっては結構ドタバタ劇もあり、それなりにハラハラドキドキのスリリングな体験もしましたが、その話はまた改めて。

会社を退職後、デザイン制作会社として独立しました。といっても最初は私一人です。早いもので、もうすぐ10年になります。おかげさまでスタッフも入り、私を含めて5名(1名育児休暇中)の会社になりました。

独立と同時に、デザインの専門学校で主にグラフィックデザインを担当する講師に就き、平日は事務所で、土日は学校の講師という形でデザインの仕事に関わってきました。何年間も休日のない働き方をしていたので、もう少しじっくり考える時間が欲しかったこともあり、講師は2年前に辞しました。
と言えばカッコ良く聞こえるかも知れませんが、実は「講師をするのは本業で食えないヤツ」という強い思いこみとコンプレックスが長年あり、早く辞めたいと思いつつも8年間も続けていました。

そんなこんなの20年を振り返って、自分の中でのデザインを整理してみたいと思います。

すでに芸大進学が決まった高校3年生の時、近所のデザイン事務所でアルバイトを始めました。
芸大での学部は美術(油絵)ですので、関係なかったといえば関係なかったのですが、面接に行ってみるとあっさり採用になったので結構うれしかった記憶があります。

今になって思えば、デザイン事務所というよりは版下業に近かったように思います。その頃は知識もありませんので、デザイン業と版下業の違いすら分かっていませんでした。おそらく、このサイトを見ている世代の人は「版下」という言葉すら聞いたことがないでしょう。今となっては過去のデザイン形態です。

初めてコンピュータに触れたのは、会社に入って間もなくの頃です。
確かキヤノンのEGPSというコンピュータでしたが、非常に取っつきやすいインターフェースで夢中になって図形を描いて喜んでいました。それからしばらくした頃、Macintoshという存在を知りました。実は、EGPSというコンピュータは当時のMacそっくりで、「これって実はMacのパクリ?」と思ったものです。

1989年、私が24歳の時にアメリカのデザイン業界を視察するという大義名分のもと、トヨタ、ソニー、シャープ、キャノンなど複数のメーカーデザイナーが集まる「お楽しみたっぷり時々視察ツアー」に参画しました。時はバブル真っ盛りです。今では信じられないほど高額経費の視察でした。

シリコンバレーから始まり、Macをデザインしていたフロッグデザインとの交流、シーグラフの見学、ボストンではMacエキスポ、はたまたID-Twoからアドビ本社まで、まさに東海岸から西海岸まで飛行機を乗り継いでの豪華ツアーです。

アメリカのデザイン事務所に行っていきなり目にしたのは、今の日本の様に全員がコンピュータに向かってデザインの仕事をしている姿でした。これには相当なショックを受けました。というのも、まだ日本ではポスターカラーや定規、カッターを使ったデザインワークをしていましたし、コンピュータを使ってデザインをするなどというのは、ごくごく一部の人で「聞いたことはあるけど、使っている人は見たことがない」という状態です。

ところが、アメリカでは皆が普通にMacを使ってデザインをしていました。アドビ本社で開発中のPhotoshopのデモを見た時には、今後コンピュータが使えないとデザインの仕事はできないな、という確信を持つまでになっていました。当時の画像処理サイテックスの画像加工がパソコンでできるソフトのデモンストレーションは、衝撃に値するものでした。


日本に帰ってからは、憑かれたようにMacの前に座っていました。今でこそ当たり前にパソコンでデザインをしていますが、作ったデータがそのまま印刷できるようになったのは、そんなに過去のことではありません。
意外に思うかも知れませんが、10年前ではキャリブレーションの問題も含め、大手印刷会社でなければ対応していないことが多く、本当の意味で完全に仕事に使える様になったのは、印刷物に関してはここ9年程だと思います。

以前のMacやイラストレータは、いわばゴーカートのようなものでアクセルを踏めば進む、ハンドルを切れば曲がるという非常にわかりやすい機能とインターフェースでした。イラストレータも1つのテキストオブジェクトとしては、25文字程度しか入力できなかった記憶があります。

私のデザイン観に大きな変化をもたらしたターニングポイントがいくつかありますが、Macに初めて触れた時と、インターネットを知った時に受けた衝撃はとても大きく、それはほとんど感動に近かったのだと思います。

それ以降の経緯は本文中で。。。

2007年12月4日